『この胸いっぱいの愛を』という映画をBSテレビで見ている。(見ながら書いている。)親戚のような“ミムラ”がヒロインだったのでつい見てしまった。
20年前の門司にタイムスリップ(もっと事情は複雑なのだが)して、少年時代の自分に出会うストーリーなのだが、はたと途中で20年前の門司なら何かの大会で行ったなと思いだした。
正しくは、対岸の下関に泊まっての仕事だったのだが、朝の五時に宿を抜け出して、伊集院静だったかが藤原新也だったかが絶賛していた朝焼けの関門海峡の渡し舟に乗った。
門司と下関は海峡といっても、とても狭くて青森港のベイブリッジや八戸の夢の大橋よりも短い橋でつながっているし、エレベーターで何十メートルか降りて地下道を歩いて渡ることもできる。
渡し船で見る夜明けは、本当に絶賛されるべき美しさだった。船からながめる海の上は一面の朝焼けのオレンジの空。やがてそれが太陽が昇ってくるに従ってキラキラと海面も下関側と門司側の街も輝きだして、うっとりする光景だったことを思い出した。
まだ門司のレトロブームが仕掛けられる前だったから、街の佇まいは古き時代が凍りついたままで、ただただノスタルジックだった。
映画に出てくる街並みや日和山や門司港のどれも確かには覚えていないけれど、とても懐かしかった。
関門海峡のあの朝焼けの光景だけは、またぜひ見たいものだと思っている。
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